「ブルー」と聞いて、何を思い浮かべるだろう。ブルーは、海や空のほかに、「憂鬱」や「不安」などの心情を表現するときにも使う。
気になったので、「ブルー憂鬱や不安由来は?」とChatGPTに聞いてみると、「中世で青色は冷たさや静けさを象徴
する色」「アフリカ系アメリカ人が奴隷とされた時代、過酷な労働を強いられる晴れた日に、青空の下で歌ったのが、現代の『ブルース』だった」との答えが返ってきた。
真偽のほどは分からないが、私の脳内には新たな疑問が生じた。「AIは『ブルーな気持ち』が理解できるのだろうか」。聞いてみることにした。ChatGPTは「AIは感情がないので、『ブルーな気持ち』になりません」と画面上で静かに答えた。感情を色で例えることは、心が揺れ動く人間だからこそできる特別な能力なのだろう。
言葉をつかさどる仕事に就いてもうすぐ1年だ。先輩にもらってうれしかった言葉は、「たくさん失敗してください」だ。
失敗は怖い。だが、気にするな。失敗を鮮明に覚えているのは、自分だけだったりするものだ。たくさんの失敗を経験した先に見えてくる「ブルー」は、きっと澄み切った青空のようだと私は考えている。
2月22日(土)毎日新聞掲載
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